ドイツとチェコの国境沿いのエルツ山地のドイツ側に、ザイフェン(Seiffen)という村があります。
ここは、木製のおもちゃの発祥と言われていて、木工工芸が大変盛んな村です。
ここの木のおもちゃは、主にクリスマス時期の家庭のデコレーションとして数多く知られています。
天使と鉱夫、クリスマスアーチ、クリスマスピラミッド、煙出し人形など、どれも大変有名です。
クリスマスのおうちの飾りといえば、ザイフェンの木の置物たちなんです。
この地域だけでなく、今やドイツ全土の家庭で親しまれています。
今日はそのエルツ山地のザイフェンについて少し触れてから、この地発祥のクリスマスの置物たちを背景と共に紹介します。
エルツ山地の歴史
エルツ山地はドイツ語では、Erzgebirge(エアツゲビエゲ)(あ〜カタカナでうまく表記できない!)といいます。
Erzは鉱石、gebirgeは山地を意味します。
ここは、その名の通り、鉱山の地。
銀に始まり、様々な種類の鉱が採れる土地で、採掘業が大いに発展しました。
12世紀初頭から800年間、1968年までこの地は鉱業で栄え、2019年には【エルツ山地鉱業地域】としてユネスコの世界遺産に登録されています。
エルツ山地の村、ザイフェンの木工工芸品の特徴
この地は鉱山であったことから、山が開かれ木材が豊富にあることから、木のおもちゃが作られるようになりました。
また、電気のない時代に鉱山で働く人たちは、真っ暗な山の内部に採掘しに入っていくので、ろうそくは必需品でした。
そして彼らは命がけで入っていくのですから、鉱員たちが使うろうそくは大変クオリティの高いものが求められました。
このことから、ザイフェンの木のおもちゃは、ろうそくが一緒に使われる物が多いのです。
さて、前置きはこれくらいにして、ザイフェンの有名なクリスマスの木のおもちゃたちを紹介しますね。
天使と鉱夫(Engel und Bergmann/エンゲル ウンド ベルグマン)
エルツ山地では、山の内部で命がけで働く鉱夫、ろうそくの灯と、教会の祈りは大変密接な関係にありました。
天使は鉱夫を守るように隣で添い、鉱夫は緑の制帽を被り、鉱夫の制服を着ています。
今日でも多くのエルツ山地の家族には、子供が迎える最初のクリスマスに、女の子には天使を、男の子には鉱夫を与える習慣があります。
女の子はこの天使を嫁入り道具として持っていき、天使と鉱夫は、この子供たちに一生添い続けます。
クリスマスの時期には、天使と鉱夫が窓に入れられます。
外から窓を見ると、この家族に何人の男の子・女の子が住んでいるかがわかることになりますね。
※採掘場で働く人のことを鉱員と言い、今では鉱夫という言葉は使われませんが、このキャンドルスタンドが古い表現のまま”天使と鉱夫”と呼ばれているので、ここではあえて、”鉱夫”という言葉を使っています。
キャンドルアーチ(Schwibbogen/シュビップボーゲン)
このアーチは、採掘場とそこでの作業に不可欠なろうそく、冷たい地下で働く鉱夫たちが求める暖かさ、安全と平和への想いが組み合わさっています。
クリスマスのシーズンにはエルツ山地の家々の窓から、数千のアークが輝きます。
クリスマスピラミッド(Weihnachtspyramid/ヴァイナハツピラミッド)
このピラミッドは、下で燃えるろうそくの熱によって、羽根車が静かに回転する仕組みになっています。
部屋の灯りを暗くすると、天井に映った回転する羽根車の影が、幻想的に映し出され、それはそれは美しいです。
煙出し人形(Räuchermann/ロイヒャーマン)
アロマキャンドルが登場する前は、人々は暖炉でくすぶっているモミの穂の上に、小さな器に入れた香料やお香を置いて、冬の香りを楽しんでいました。
煙出し人形に使われるお香は、まさにそのモミの穂がくすぶっている暖炉の香り。
煙出し人形は、村の人々の生活を表現しています。
木こり、狩人、、鉱夫、鉄道員、郵便配達員、消防士、物売り、他にもたくさんの職業があります。
今では、雪だるまや家の煙突から煙が出ているものなど、デザインは作家たちのユーモアに溢れています。
煙出し人形は、こちらの記事でも紹介しています。
まだまだあります・・・
ザイフェンの伝統のおもちゃは、まだまだあります。
が、今回はクリスマスの家庭の飾り付けとして、今回は 天使と鉱夫、クリスマスアーチ、クリスマスピラミッド、煙出し人形を紹介しました。
今日紹介した置物たちは、クリスマスのアドベントの期間に、窓に飾られるものたちです。
また随時紹介していきますね!
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